2023年 あけましておめでとうございます
新型コロナウイルスの流行が始まってから3年が経とうとしています。昨年は、なんとか通常に向けて寺として動き出したいという思いが、第7波、第8波の感染者の増大を目の当たりにして揺らぐことを繰り返した1年でした。西念寺の各行事も密を避けながらの実施となりました。そのような中にもかかわらず、皆さまには変わらぬご協力いただいておりますこと感謝いたします。
さて、日本漢字能力検定協会が公募した2022年の世相を表す漢字の1位に選ばれたのは『戦』の字でした。冬季オリンピックやサッカーのワールドカップもありましたが、2月からのロシアによるウクライナへの侵攻が影響していることは明白です。誰もが頷ける結果でしょう。
まもなく侵攻から1年が経とうとしていますが、ロシア側が「攻撃せざるを得なかった」という主張を曲げることはなく、今も終結の兆しは見えません。戦争が終わらない限り、いのちが奪われ続けることは止まりません。どんな戦争も、攻撃の正当性が主張されますが、いのちを奪うことが正当化される理由などあるのでしょうか。いのちの尊厳が無視されて勝った負けたに明け暮れるのが戦争です。
日本でも、安倍元首相が凶弾により殺害されたり、社会学者の宮台真司氏が襲撃されるなど、暴力に訴える事件が続きました。
自分と異なる考えを持つ相手に対して自分の正当性を主張して、、相手の尊厳を無視した形で攻撃する傾向が強まっているように思います。今こそ理解し合うこと、共存することの大切さを模索していくことが大切なのではないでしょうか。
私たちは実際には敵や味方といった単純に分けられるような存在ではなく、あらゆるものとの関係の上で支え合って成り立っています。そして誰もが唯一かつ尊いいのちを生きています。その原点を見つめ、今、私にできることを探っていく年にしていけたらと思っています。
西念寺としては、このような時代だからこそ、感染防止に努めながら、仏教にふれていただく機会を持っていただけるような寺としていきたいと考えております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。(住職)