親鸞聖人のゆかりの地を訪ねて ー 喜八阿弥陀堂(茨城県小美玉市) ー

文・撮影 M.K.

喜八阿弥陀堂を望む

茨城県小美玉おみたま市与沢(旧小川町与沢)にある喜八阿弥陀堂には、親鸞聖人御真筆と伝えられている「二十二光にじゅうにこう阿弥陀如来画像」「聖徳太子勝鬘経御講讃図しょうまんぎょうごこうさんず」「善導大師ぜんどうだいし画像」の三幅があり、県指定文化財になっている。お堂は長島家の敷地内にあり、三幅は当家によって代々守り伝えられている。毎年1月と8月の共に16日、お堂へ安置され、お参りできるという。

今(2022年)はコロナ禍の状況であり、しかも個人の家でお守りしているとのことなので、ご開帳がされるのかどうかわからなかったが、お堂だけでも拝観できればと思い、1月16日に訪ねてみた。

常磐道の千代田・石岡インターを出て、県道355号を東に進み茨城空港方面へ向かうこと約10km、県道「小川・鉾田線」の起点にさしかかる。ここを左折して進み、間もなく、右脇道に入ると目的地付近に到着。しかし付近に着いてはいるものの案内版らしきものが見当たらず、車を停車して周囲を見回していると、ご婦人が丁度こちらへ向かって歩いてこられた。喜八阿弥陀堂はどこかと訪ねたところ、「長島家は表(本家)で、ここの上が長島家だ」と気軽に答えてくれた。やや狭い登り坂であったので車で進むのを躊躇していると、ご婦人の家の庭先に車を止めるようにと言って、ご本人は先に長島家に行き声をかけてくれた。返事がないが在宅のはずと自宅に戻り、今度は電話をかけて連絡を取ってくれた。ご当主様が別棟のほうからお出でになった。

阿弥陀堂前広場の文化財案内版

本来は16日がご開帳の日であるが、三年ほど前の大きな台風で、お堂も被害を受け、お守りしている文化財の三幅は、その後、お堂へ安置するのは難しく御開帳はしていないとのお話しであった。それまでの御開帳の時には20人程が集まって準備をされていたとのことである。私が坂東市の西念寺で編集委員をしていて親鸞聖人二十四輩ゆかりの地を訪ねていること、などのやりとりをしていると、「15分ほど待ってくれますか、その間に三幅を母屋に用意しますので」と話された。それから何度も、寒いので母屋の前の日だまりで待つようにとご心配された。