ご門徒の彫刻家・石崎義弘氏の個展を鑑賞
鹿児島市 中村晋也美術館にて
西念寺ご門徒の彫刻家、石崎義弘氏は千葉県の中学校で美術の先生をされる一方、創作活動を続け、日展にて2004年、2006年に特選入賞を果たし、平成27年度(2015年度)「彫刻の部日展審査員」に選ばれています。2016年に寺報『おしらせ』にインタビュー記事を掲載させていただいております(2016年3月)。
このほど、出身地の鹿児島にある、石崎氏の鹿児島大学時代からの恩師であり、日本を代表する彫刻家の一人でもある中村晋也氏の美術館にて個展を開かれるとうかがい、ご住職、前住職、編集委員会の有志にて取材に行ってきました。
会場の中村晋也美術館は、鹿児島市西部の住宅地にあります。常設の作品は、中村氏の長年にわたる作品を集めたもので、奈良薬師寺に奉納された、「釈迦八相像」や「釈迦十大弟子」をはじめ、鹿児島市内に没後100年を記念して設置された「大久保利通公銅像」など、多数のスケールの大きな作品を間近で見ることができ、圧倒されました。
その建物の2階で、石崎氏の特別展が開催されていました。
石崎氏の作品は、お子様の成長する姿や奥様の顔等、家族愛にあふれる彫刻が印象的で、お子様の小さい頃の姿は本当に可愛らしく印象的でした。取材の折「日常的な感情をモチーフとして制作している」と言われていたように、ご家族がモデルとなった作品には、制作のきっかけとなったエピソードが添えられていました。
2011年東日本大震災の折の作品「天を恨まず」など、世の中のいろいろな出来事を捉えての作品も展示されていました。「変わってゆくこと」とタイトルがついた作品には、「新型コロナで何もかもが変わってしまいました。準備していた展覧会が中止になりました。押しつぶされそうになる無気力感。そんな中2度目の審査員の通知が来ました」と説明文が添えられ、心打たれました。石崎氏の今後のご活躍をご祈念申し上げます。(O.T.)
住職より
石崎さんの彫刻からは、やわらかな眼差し、そしてやさしさが、素材の硬さを超えて伝わってきました。今回、石崎さんと中村氏の作品の鑑賞をとおして、お二人の作家性を感じるとともに、それぞれの作品が雄弁に語りかけているように感じ、感銘を受けました。皆さまも機会があればぜひご鑑賞ください。中村晋也美術館での石崎さんの個展は終了しましたが、すばらしい作品の数々を間近で鑑賞できる当美術館は、鹿児島の観光名所になったらよいのにと思うほどでした。皆さまも鹿児島を訪れた際にはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。